せっかく高価な費用と時間をかけて壁の張り替えを行ったのであれば、その美しい状態を1日でも長く維持したいと思うのは当然のことである。壁紙の寿命は一般的に10年から15年と言われているが、日頃のちょっとした心がけや手入れ次第で、その美観と清潔感は大きく変わってくる。まず、施工直後の注意点として、糊が完全に乾燥して安定するまでの約1週間は、過度な湿気や急激な温度変化を避けることが肝要である。特に冬場の暖房の効きすぎや、夏場の長時間の除湿は、壁紙の急激な収縮を招き、継ぎ目が開いたり浮いてきたりする原因となる。日常的な手入れにおいては、表面に付着する埃を定期的に取り除くことが最も効果的である。埃は空気中の油分や水分を吸着し、時間が経つと黒ずみとなって壁紙に定着してしまうため、ハタキや掃除機のブラシノズル、あるいは乾いた清潔な布で、月に1、2回は壁全体を軽く拭き取る習慣をつけたい。もし、不注意で手垢や飲み物の飛沫などが付いてしまった場合は、早急な対応が求められる。汚れが染み込む前に、中性洗剤を極めて薄く溶かしたぬるま湯に布を浸し、固く絞ってから汚れを叩き出すように拭き取るのが正しい方法である。ゴシゴシと力任せにこすると、表面のエンボス加工が摩耗したり、素材が傷んだりするため注意が必要だ。また、家具の配置にも工夫を凝らしたい。壁に家具をぴったりと密着させてしまうと、空気が滞留して湿気が溜まり、カビの原因となるだけでなく、家具の背面の着色料が壁紙に移ってしまうこともある。壁から3センチメートルから5センチメートル程度の隙間を空けて設置することが、通気性を確保し壁を守ることにつながる。直射日光も壁紙の色褪せや劣化を早める大きな要因であるため、日当たりの強い窓辺ではレースのカーテンやUVカットフィルムを活用して、強い光が長時間当たり続けないように配慮したい。万が一、壁紙の継ぎ目が少し剥がれてきたり、小さな傷がついたりした場合は、市販の壁紙用補修剤を用いて早めに対処することが大切である。