リフォームの現場で30年以上にわたって木を削り続けてきた、あるベテラン棟梁のインタビューを通して、工務店がリフォームにかける情熱と技術の深層を探ります。棟梁は、「リフォームは新築よりも10倍難しい」と言い切ります。新築はゼロから図面通りに積み上げていけば良いのですが、リフォームは、前の職人がどういう意図でその釘を打ったのかを読み解くことから始まるからです。特に古い家の場合、木材が乾燥して収縮していたり、建物全体が微妙に傾いていたりすることが当たり前です。その狂いを、最新のレーザー計測器と伝統的な「指先の感覚」の両方を駆使して修正していくのが、工務店の職人の腕の見せ所なのです。棟梁が最もこだわるのは、完成後には見えなくなってしまう「下地」の部分です。どれだけ高価なフローリングを貼っても、その下の根太がしっかりしていなければ床鳴りがしますし、どれだけ美しい壁紙を貼っても、石膏ボードの継ぎ目が雑であれば数年でひび割れてしまいます。工務店の職人は、自分たちが手がけた仕事が10年後、20年後にどうなっているかを常に想像しながら作業をしています。また、棟梁は「地元の工務店は逃げ隠れができない」とも語ります。近所を歩けば施主さんと顔を合わせる環境だからこそ、絶対に手抜きは許されないし、常に最高のパフォーマンスを出さなければならないという誇りと緊張感があるのです。最近は安価なリフォームセットプランも増えていますが、棟梁に言わせれば、家は1軒1軒状態が異なり、住む人の癖も違います。だからこそ、現場で木を削りながら「ここに棚があった方が使いやすいのではないか」と提案できる柔軟性が、工務店の最大の強みだと言います。職人の手仕事には、効率化という言葉では切り捨てられない「住まいへの愛情」が込められています。工務店にリフォームを依頼するということは、こうした職人の誇りと、長く住み継いでいくための確かな技術を買い取るということでもあるのです。
工務店の棟梁に聞くリフォームの現場と職人のこだわり